- 背景
- これまで大学における発明は、原則個人帰属とされていましたが、研究成果の社会還元の見地から見ると、必ずしも十分とは言えず、かつ知的財産が死蔵されやすいという指摘も多くありました。このため、政府の「科学技術基本計画(平成16年5月)」や「知的財産戦略大綱(平成14年7月)」において、個人帰属から機関帰属への転換が提言され、さらに、文部科学省の科学技術・学術審議会に置かれた「知的財産WG」において、大学における知的財産の機関帰属への転換に伴い必要となる大学の体制整備を求める報告書がまとめられました。
- 意義
- 大学知的財産本部とは、大学における発明の帰属が、原則機関帰属になったことに伴い、整備された知的財産の「創出」、「保護」、「管理」、「活用」を戦略的に実施するための体制です。
大学における優れた知の創造と活用が経済・社会の活性化に直結することは、大学の「第三の使命」である社会貢献の実現に大きな意義があると考えられます。 - 「大学知的財産本部整備事業」について
- 「大学知的財産本部」を整備する際には、
- 明確な知的財産ポリシー等のルールの確立
- 組織的な全学的なマネジメント体制の整備
- 知的財産専門人材(外部人材)の確保
- 効果的・効率的な活用体制の強化
が重要なポイントとなります。
平成15年度から文部科学省では、全国の知的財産戦略の体制整備を必要としている大学を支援するため、上記のポイントを念頭に、全国の大学等機関から43 件の機関をモデルとして選定し支援を行う「大学知的財産本部整備事業」が実施されています。この事業により、全国の国公私立大学の内、約100機関以上の大学で知的財産の管理・活用体制が整備されてきています。
機関帰属・管理に関する提言
- ○知的財産戦略大綱(平成14年7月) 抄
- 第2章 基本的方向
- 1.創造的戦略
- 大学・公的研究機関等における知的財産創造
国立大学等が法人化した際には知的財産の機関帰属を原則とし、併せて発明者の努力に報いるため発明者やその研究費への手厚い還元を図らなければならない。
- ○知的財産ワーキング・グループ報告書(平成14年11月) 抄
- II. 知的財産等の帰属の見直しと制度の整備
- 2.特許等の取扱
- 特許法上の職務発明と大学教員の発明
- 大学の第三の使命と発明に関する権利の帰属の見直し学術研究の発展や科学技術の方向性、また知的財産等のより効果的な活用等の見地から「最善の道」を今日の時点で選択するとすれば、大学が知的財産等を保護・管理し、有効な活用を企画・維持する能力を有することを前提に、教員が大学で行った職務発明に係る特許権等のうち、大学が承継するものの範囲について見直しを行い、機関帰属を原則とすることが適切である。
大学知的財産本部に関する提言
- ○知的財産権の取得・管理のための人材や体制の整備
- 知的財産権の取得・管理のための人材や体制の整備
- 知的財産管理機能の強化
研究開発の実施段階から知的財産の発掘・権利化を行うため、2002年度から準じ大学・公的研究機関等における弁理士や民間の専門家の活用を推進するとともに、産学官連携組織の機能の強化を図る。また、他大学に先立ち、全国数十程度の主要な国公私立大学において、TLOとも連携しつつ、企業経験者民間人材を活用して、知的財産の創造と活用を総合的に支援する「知的財産本部」の整備等を2003年度までに開始する。
- ○知的財産基本法(平成14年法律第百二十二号)
- (研究成果の移転の促進等)
第十三条
- 創造的戦略
国は、大学等における研究成果が新たな事業分野の開拓及び産業の技術の向上等に有用であることにかんがみ、大学等において当該研究成果の適切な管理及び事業者への円滑な移転が行われるよう、大学等における知的財産に関する専門的知識を有する人材を活用した体制の整備、知的財産権に係る設定の登録その他の手続の改善、市場等に関する調査研究及び情報提供その他必要な施策を講ずるものとする。
■大学知的財産本部整備事業
○大学知的財産本部体制整備の支援
- 【目的】
- 「知」の源泉である大学等における知的財産の戦略的かつ組織的な 創出・管理・活用を進めるため、全学的な知的財産の管理・活用を図る「大学知的財産本部」を整備し、知的財産の活用による社会貢献を目指す大学づくりを推進する。(原則5年間継続、2年経過後中間評価)
- 【事業のポイント】
- ・大学の自由な発想に基づく新しいマネジメント体制
・民間企業経験者等の外部人材の積極的活用
・TLO等外部組織との連携強化
- ・大学の自由な発想に基づく新しいマネジメント体制
- 【実施機関】
- ・「大学知的財産本部整備事業」実施機関:34件
・「特色ある知的財産管理・活用機能支援プログラム」対象機関:9件
- ・「大学知的財産本部整備事業」実施機関:34件

○スーパー産学官連携本部整備の支援(17年度新規)
- 【目的】
- 大学知的財産本部を核として、大学内の研究リソースを結集し、組織的に産学官連携を推進するための体制である「スーパー産学官連携本部」を整備し、産学官連携をより一層推進する。
- 【事業のポイント】
- ・海外主要大学と伍した産学官連携体制の構築
・組織的な共同研究の推進
・積極的な民間資金の獲得
・我が国経済・社会の発展への一層の貢献
- ・海外主要大学と伍した産学官連携体制の構築
- 【実施機関】
- ・「大学知的財産本部整備事業」実施機関から5大学程度を選定

■大学等における知的財産の管理・活用状況等
文部科学省では、平成16年6月時点において産学官連携活動を行っている全国の国公私立大学等について以下のアンケート調査を行った。
1.知的財産の機関帰属の有無
| 原則 機関帰属 としている |
比率 | 原則 個人帰属 としている |
比率 | 設定して いない |
比率 | 回答 大学数 |
|
| 総数 | 182 | 38.2% | 45 | 9.2% | 258 | 52.6% | 490 |
| 国立大学等 | 82 | 87.2% | 4 | 4.3% | 8 | 8.5% | 94 |
| 私立大学等 | 85 | 24.8% | 29 | 8.5% | 228 | 66.7% | 342 |
| 公立大学等 | 20 | 37.0% | 12 | 22.2% | 22 | 40.8% | 54 |

2.知的財産の管理活用体制(大学知的財産本部等)の整備状況について
| 既に 整備して いる |
比率 | 今後 整備予定 である |
比率 | 整備する 予定は ない |
比率 | 回答 大学数 |
|
| 総数 | 119 | 24.3% | 174 | 35.5% | 197 | 40.2% | 490 |
| 国立大学等 | 62 | 66.0% | 19 | 20.2% | 13 | 13.8% | 94 |
| 私立大学等 | 45 | 13.2% | 138 | 40.3% | 159 | 46.5% | 342 |
| 公立大学等 | 12 | 22.2% | 17 | 31.5% | 25 | 46.3% | 54 |


