UNITT 一般社団法人大学技術移転協議会 University Network for Innovation and Technology Transfer

大阪大学 重症心不全に対する再生医療製品

国立大学法人大阪大学 共創機構 産学共創本部

重症心不全に対する再生医療製品-自己筋芽細胞シート「ハートシート」の開発

 現在、世界中で約2,200万人、国内で160万人が心不全に罹患しており、そのうち薬剤による治療では改善が期待できない重症心不全の国内患者は、約10万人とされている。米国では、年間約2,200件の心臓移植が行われているが、日本では、深刻なドナー不足に加えて移植療法に対する閉塞感が強く、重症心不全に対する根本的治療の確立はどの国にも増して急務となっている。

 大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授は、日常診療の中で重症心不全患者に対する置換型治療の限界と再生型治療の必要性を痛感し、2000年よりNEDOプロジェクトとして、自己骨格筋由来筋芽細胞シートによる心筋再生治療法をテルモ株式会社と共同で開発し、2007年にFirst in Humanとして補助人工心臓装着下の心臓移植待機患者に治療し、人工心臓からの離脱に成功した。厚労科研費による臨床研究として、人工心臓装着患者4名を含めて35名の重症心不全患者に本治療を行い、安全性とともに心機能や臨床症状の改善を証明し、生命予後改善効果を明らかにした。大阪大学は、澤教授グループの保有する多様な再生医療技術を同社に技術移転し、同社が企業治験を行い、改正された薬機法の審査による最初の早期承認かつ心筋再生医療製品「ハートシート」として世界で初めての承認を得るに至った。これにより、多くの重症心不全患者に対する本治療法の貢献は本邦のみならず世界からも期待されている。なお、大阪大学とテルモ株式会社は、世界初の心不全治療用再生医療等製品「ハートシート」の共同開発が産官学連携の進展に寄与した功績を評価され、「産学官連携功労者表彰厚生労働大臣賞」を受賞している(2016年8月26日)。

 新しい薬機法による再生医療製品に対する早期承認制度により、これまでの治験と比較して、患者の本治療へのアクセスが迅速化されたと同時に企業の投資回収が早くなり再生医療産業化の推進が期待される。その先駆けとなる「ハートシート」の早期承認の役割は大きいと考えられる。

 産学官連携による「ハートシート」の開発は、文科省「橋渡し研究事業」におけるトランスレーショナルリサーチの成功例であり、新しい薬機法の制定とともに、今後の本邦における再生医療製品の開発に活路を開き、再生医療産業化の発展とともに医療イノベーション推進につながるものと期待される。

詳細情報のアクセス先:
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-8、テクノアライアンス棟A201
大阪大学 共創機構 産学共創本部
テクノロジー・トランスファー部門
電話:06-6879-4861、E-mail:ipm@uic.osaka-u.ac.jp

重症心不全に対する筋芽細胞シートの開発

重症心不全に対する筋芽細胞シートの開発

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