UNITT 一般社団法人大学技術移転協議会 University Network for Innovation and Technology Transfer

東京工業大学 内視鏡ロボット

国立大学法人 東京工業大学 研究・産学連携本部

内視鏡ホルダーロボット「EMARO(エマロ):Endoscope Manipulator RObot」

 近年、外科手術において、術後の回復が早い、傷口が小さいなどの利点から、開腹手術に代わって低侵襲手術が広く行われています。低侵襲手術は身体への侵襲度が低い医療機器を用いた診断・治療で、特に内視鏡外科手術が注目されています。内視鏡を操作するにあたっては、スコピストと呼ばれる助手の医師が内視鏡の操作を行う必要があり、執刀医との円滑な意思疎通が求められることや手振れの発生などが問題となっており、内視鏡操作を支援する新たな医療機器の需要が高まっていました。既存の内視鏡ホルダーロボットは電動モーター駆動を用いており、空気圧駆動のような柔らかさを出すには不向きでした。

 EMAROは東京工業大学旧精密工学研究所(現未来産業技術研究所)の只野耕太郎准教授と東京医科歯科大学生体材工学研究所の川嶋健嗣教授の空気圧を用いた超精密制御技術に関する10年を超える研究成果を活かし、東京工業大学と東京医科歯科大学の両大学発ベンチャー企業のリバーフィールド株式会社が開発した世界初の空気圧駆動型手術支援ロボットです。2015年8月に販売を開始以来、販売を順調に伸ばしております。

 EMAROは頭部にジャイロセンサーを装着した執刀医が、頭を上下・左右に傾けると、その動きを感知して、空気圧で内視鏡を動かします。動く自由度は、内視鏡の抜き差し(前後)、上下、左右、そして回転の4つがあり、頭部の動きと足元のスイッチを組み合わせて制御します。従来、超精密制御を要求される手術関連のロボットに連続的な空気圧制御を行うことは大変困難でしたが、東京工業大学香川利春教授の永年に渡る流体計測制御技術を基盤として、只野准教授と川嶋教授が空気圧駆動系の厳密なモデル化と独自の制御技術を導入したことにより、極めて精密な空気圧制御の実装に成功しました。空気圧駆動は産業用ロボットなどでも掴む動作に使われているように、動きが非常に柔らかく滑らかで、しかも安全性が高いという利点があります。また、直径約10mmと注射器サイズの小さなシリンダーへの空気の出し入れだけで大きな出力を得ることができる機構のため、大幅な小型化・軽量化を図ることができます。

図1. 内視鏡操作システム(左が従来手法、右がEMAROによる提案手法)

図2. 内視鏡ホルダーロボット EMAROの写真

EMAROを用いることにより、執刀医はスコピストを介することなく、望む画像を手ぶれなしに得ることができ、より正確な手術を行うことができます。また、スコピストの役目をEMAROが担うため、医師不足に悩む中小規模の病院でも腹腔鏡手術が可能となり、より多くの患者がこの手術を受けられるようになります。

工業所有権
  • 内視鏡操作システム 東京工業大学
    日本特許 登録番号5766150(公開番号2013-244377)
    日本特許 登録番号5846385(公開番号2014-094039)
    国際特許 (国際公開番号WO2014/073122)米国、欧州
  • 内視鏡操作システムおよび内視鏡操作プログラム 東京工業大学
    日本特許 登録番号5737796(公開番号再表2014/155725)
    国際特許 (国際公開番号WO2014/155725)米国、欧州
詳細情報のアクセス先
  • リバーフィールド株式会社
    〒160-0017 東京都新宿区左門町20番地 四谷メディカルビル5F
  • 国立大学法人 東京工業大学 研究・産学連携本部
    〒152-8550 東京都目黒区大岡山2-12-1
    TEL:03-5734-2443  FAX:03-5734-7694
    E-mail:sangaku@sangaku.titech.ac.jp
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