UNITT 一般社団法人大学技術移転協議会 University Network for Innovation and Technology Transfer

大阪大学 非線形光学結晶レーザー

国立大学法人大阪大学 共創機構 産学共創本部

不純物を低減した非線形光学結晶から紫外レーザー光を安定に発生

 1993年に大阪大学工学部の佐々木孝友教授、森勇介助教(現教授)らの研究室で非線形光学結晶CsLiB6O10(CLBO)が発見された。この結晶はレーザー光の波長を短波長に変換する特性に優れ、特に波長300nm以下の深紫外領域の変換では既存結晶を凌駕する性能を有していた。翌年、新技術開発事業団(現 科学技術振興機構(JST))の有用特許制度により国内特許出願を、その次の年には国際特許出願を行った。その後、民間企業で製品化されて半導体関連分野の検査装置の深紫外レーザーを中心に少しずつ普及し始めた。三菱電機株式会社は短波長紫外レーザーによって半導体プリント基板の微小穴加工が実現できる点に着目し、1997年より大阪大学とCLBO結晶の共同研究を行ってきた。2003年から4年間は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の基盤技術研究促進事業として、深紫外光(波長213nm)の高出力化を進めた。ところが、CLBO結晶は自ら発生した紫外光を吸収して熱位相不整合による変換効率の低下、さらにレーザー損傷が生じることなどの問題が顕在化した。吉村政志助手(現本学レーザー科学研究所教授)らは結晶内部に残留している水不純物を熱処理によって低減すると、発熱や損傷が生じにくくなるという知見を見出した。この不純物処理を施したCLBO素子によって、最終目標の出力10Wを達成し、プロジェクトを終えることができた。また、三菱電機株式会社と大阪大学との共願により、国内外で低不純物CLBOの特許が成立した。

 プロジェクトが終わる頃から、半導体素子の配線微細化は飛躍的に進展し、CLBO素子は半導体検査分野で本格的な導入が始まった。一方で、レーザー光源の開発現場では素子寿命が短いことが課題となり、吉村助手らは上述の残留不純物に原因があると考え、積極的に共同研究先企業に特許技術の指導を行い、各社の製品開発をサポートしてきた。今日、深紫外光を発生する素子としてCLBO結晶は世界で確固たる地位を築き、半導体関連の検査装置用の深紫外レーザー光源のキーデバイスとして、世界中で広く使われるようになっている。今後は、新産業革命の製造業で求められる難加工材(ガラス複合材や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等)のレーザー加工分野で、光源は深紫外光へと短波長化するトレンドになっており、CLBO素子の不純物制御が極めて重要な要素技術である。2017年、本共同出願特許技術を他の民間企業に対してライセンス契約を締結した。今後のグローバル競争の中で、本特許がコア技術としてライセンス先企業の競争力強化につながるものと期待している。

図1 非線形光学結晶CLBO

図2 波長変換素子

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