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特許法等の改正「特許権の放棄にライセンシーの同意が不要となります」(令和4年4月1日施行)

2021/12/08

特許庁から大学やTLOに関係する重要な法改正の周知依頼がありました。

 

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・特許権等をライセンスしている。
・しかし最近実施料が無いので、早く特許権を放棄したい。
そんなあなたに朗報です。

 

令和4年4月1日以降、法律が変わり、特許権の訂正や放棄の際、通常実施権者
(ライセンスを受けている者)の承諾が不要になります。つまり、特許権者は
通常実施権者の同意を得ないで自由に特許権の訂正や放棄ができることになります。
来年3月31日までの過去契約の全てのライセンス契約に適用されます!
(特許だけでなく実用新案、意匠のルールも変わります。詳細は以下のA3をご参照ください)
※なお、本法改正の大元の趣旨は、パテントプールの特許のように多数のライセンシーを有する
特許権の訂正を容易に行えるようにすることでした。

 

Q1 通常実施権って何?
A1 特許権のライセンスのことです。
 厳密には、特許法が想定するライセンスには「通常実施権」と「専用実施権」の2種類がありますが
特に意識せずライセンスをした/ライセンスを受けた場合、「通常実施権」と考えてよいでしょう。
皆様がよく使う独占実施権は「独占的」通常実施権がほとんどなので、本特許法改正の対象となります。
(専用実施権としてライセンスするには、その旨の契約に加え、特許庁の原簿への登録が必須となりますので、
意識せず「専用実施権」が選択されることは考えにくいです)
 あなたのライセンスが「専用実施権」でなければ、それは通常実施権の可能性が高いので、
法改正の影響を考慮する必要があります(専用実施権は法改正の影響を受けません)。

 

Q2 令和4年4月1日よりも前からあったライセンス契約も影響を受けるの?
A2 受けます。
 令和4年4月1日以降も通常実施権者の承諾がなければ特許権等の訂正や放棄ができないようにしたい場合、
ライセンス契約を見直して、承諾が必要である旨をライセンス契約で明示する必要があります。

 

Q3 具体的にどんな場面で承諾が通常実施権者の不要になるの?
A3
a. 訂正審判の請求
b. 特許無効審判又は特許異議の申立ての中で行う訂正の請求
c. 実用新案権の訂正
d. 特許権、実用新案権及び意匠権の放棄
については、通常実施権者の承諾が不要となります。

 

aからcは「訂正」に関するもので、特許権や実用新案権に何らかの不備があったときに、それを修正するものです。
「訂正」では単なる誤記の訂正のほか、特許権や実用新案権の権利範囲が狭くなる場合もあります。

 

dは放棄、つまり、特許権、実用新案権、意匠権を権利期間の途中で権利放棄して、誰もが自由に使える状態とすることです。
放棄がされても、通常実施権者は特許発明等をそのまま使い続けることができますが、第三者も自由に使える状態になります。

 

Q4 商標のライセンス契約については法改正の影響を受けないの?
A4 受けません。

 

特許庁ではリーフレットも作成しましたので、是非御確認ください!
https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota-info/document/panhu/teisei_shinpan.pdf

 

紙のリーフレットが必要な方は、下記特許庁審判企画室までメール又は電話でご連絡ください。
特許庁審判企画室
 担当 千本潤介(せんぼんじゅんすけ)、山本晃司(やまもとこうじ)
 03-3581-1101(内線5854)
 PA6B00@jpo.go.jp

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