水田 貴信さん
株式会社東北テクノアーチ 代表取締役社長
大学技術移転協議会 (UNITT) 代表理事副会長
―水田さん、RTTP認定者へのインタビューにご協力いただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず、簡単に経歴をお聞かせいただけますか。
博士号取得後、ポスドクを経て東北テクノアーチに入社し、一貫して技術移転業務を行ってきました。2014年から代表取締役社長に就任し、現在に至っています。RTTPは2021年9月に取得しました。
―なぜRTTPの認定を受けようと考えられたのでしょうか。
当時東大TLOの社長であった山本貴史さん(現株式会社理研イノベーション 代表取締役社長, RTTP/UNITT理事)に、「きっと認定を受けられると思うから、そろそろ検討してみては。」とおっしゃっていただいたのがきっかけです。
―ケーススタディ作成をどのように進めましたか。
「何をケーススタディとするか」で悩みました。単に「巨額のライセンス料や共同研究費をタフネゴで勝ち得た」とか「特許庁とのタフな拒絶対応を勝ち抜いて特許化した」のような(「実務者のルーティン業務のうち」の困難だったケースに過ぎないこと)ケーススタディでは絶対認定されないと思われたので。最終的に、「ステークホルダーが多く調整がとても面倒だったが、すべてに利益があったと言える」ケースを選択しました。
―申請書類作成で大変だったことは。
「いかに面倒なディールをきれいにまとめたか」ということをきちんと伝えるために、どのくらいの量でどう書けば良いかを一番悩みました。ディールをまとめようと決断して行動した理由や背景を書かず、行動した事実のみを時系列で書いても実務者の実力は伝わらないと思ったので、このあたりの書きぶりも随分検討しました。
―申請にあたって、何かサポートは受けられましたか。
私が申請を検討した頃は、まだグローバル人材育成委員会が今のようなサポートを行っていませんでした。現在は委員会のご尽力のおかげで、申請に必要なCEポイントを取得できる国内の研修が増えており、申請の門戸が大きく開かれ好機かと思います。私は、前述の山本貴史さんに申請書類を見ていただきました。
―申請サポートにおけるグローバル人材育成委員会の役割をどのようにお考えですか。
グローバル人材育成委員会におかれては、「言いたいことが伝わる文章になっているか」を厳しめに添削、推敲、助言をされて良いのではないでしょうか。正直に「何言っているかわからないから最初から書き直し」といって差し戻すこともあっていいと思います。
―RTTP認定のメリットについてどのようにお考えでしょうか。
実は特に感じたことはありません。メリットがあるから認定を受けましょうという属性のものではそもそもない、という理解です。数多の難ディールを結実させて何年か経った方が、その戦歴の代表作でケースタディを申請できればおのずと取得できる「自他ともに認めるプロの証」といったような、さながらPhDと近い属性のものだと感じています。結果的に取得できるものであって、取得することが目標であってはいけない。そうでないと、RTTP制度を立ち上げた方々の当初の狙いに反することになりかねない。つまり、認定されるための手法の分析(こういうことを書けば認定されやすい、など)が始まったりして、結果的に個々のRTTPの質が低下する流れも起こりうると思います。もっと時間が経つとPhDと同じように、持っていないとグローバルには(交渉)相手に舐められる、そんな位置づけと認知度にRTTPもなっていくものではないかと思っています。
―では最後に、UNITT会員を始めRTTP認定に関心ある皆様に向けてメッセージをいただけますでしょうか。
まずはCEポイントを取得できる研修をたくさん受講して、実務者の基礎を身につけてください。身につけたスキルを実践して何年も実務経験を踏む中で、ご自身の会心の一撃というべき難ディール、難オーケストレーションをなし得たときに、それをケーススタディとしてまとめ、RTTP認定に挑んでみてください。世界があなたをプロと認めてくれる日が、きっと待っています。
―心強いお言葉、ありがとうございました!
(2026年6月10日、インタビュアー:大屋 知子, RTTP/グローバル人材育成委員会委員)






