UNITT 一般社団法人大学技術移転協議会 University Network for Innovation and Technology Transfer

バイドール法と技術移転機関の設置

 米国は技術移転先進国である。バイドール法が世界で最初に“発明”され、1980年に米国で導入された。当時の米国上院議員であるバイBayhとドールDoleにより共同提案され、立法化されたものである。本法導入前には、連邦政府から大学へ流れた巨額の研究資金によって創作された発明・特許は、連邦政府所有であり、大学には権利が無かったから、大学には発明創作のモチベーションは働かないだけでなく、政府においても、所有した発明を商業化する動きは鈍かった。

 そこで、バイドール法により、大学に特許を受ける権利を与え、発明後の権利化とライセンス活動に取り組ませる方針に大転換した。その後多様な意見が出ている(https://www.autm.net/advocacy-topics/government-issues/bayh-dole-act/)が、2016年度に全米で2500億ドルを超えるライセンス収入を得る基盤を形成した法制度であったことは間違いなかろう。一方、当時日本は、Japan as No.1でバブル状態であり、大学に知財管理や活用を迫る必要は無かったので、当時の日本政府は一部の成果は国が吸い上げたが、多くは個人に処分を委ねる方針とした。その後、日本は1990年代の大不況から脱却方策の一つとして1999年に日本版バイドール法を導入し、特許を受ける権利を大学に与え、発明後の権利化とライセンス活動に取り組ませることに大転換した。首相として初めて知財立国を宣言した。米国に遅れること約20年のことであった。その結果、大学にも発明等知財を管理する部署と、技術移転を組織として担う部署が必要になったのである。

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